撮影ハードウェア編の第5章となります。
1.絞り(F値)復習
絞りはカメラのレンズ内に搭載された人間の瞳孔と同じ働きをするものだということを第3章で解説しました。
1と1.4の倍数を小さい順に並べて、1段階上がるごとに明るさが半分になります。
逆に、一段階下がるごとに明るさが2倍になります。
2.F値の1と1.4はどこからきているのか
(この項で述べるのは考え方だけです。かなりゆるく書いています。)
まず、1.4というのは√2のことを指しています。そのため、正確な図は以下のようになります。
そして、開口面積が2倍になれば2倍の光量を得るという比例の関係があります。
それを前提として、光量=面積を2倍にするためには、半径や直径を√2倍する必要があります。
F1.0から√2を順に乗じていくと、1.0、1.4と言った数値になるのです。
1.0や1.4と言った数値はここからきているのです。
3.ボケとは?
ボケはどのように発生するのでしょうか。
点Pを被写体、中央の凸レンズがカメラレンズ、右の板がセンサーだとします。
点Pから放出された光の、レンズの上端から下端までの光について考えてみましょう。
その図を見ると、点Pの光は、レンズで屈折され、センサーのある一点に収束しています。
これは、点Pの実像が、センサーに投影されたことを示しています。
この状態から、点Pを左へ移動してみましょう。
すると、センサー付近の光の収束点も左に移動し、センサーでは、点ではなく面(円)となって光が当たります。
本来、1つの点に集まるはずだった光が拡散する現象。
これをボケと言います。
4.ボケ量が変化する4要素
ボケの量は、4つの要素によって変化します。
- 絞りを開く
- 焦点距離を長くする
- 被写体と背景の距離を遠ざける
- カメラと被写体の距離を近づける
ことによって、ボケは大きくなります。
こちらの記事も参考にしてください。
5.ボケと絞りの関係
なぜ絞りを変えるとボケの量が変わるのでしょうか。
レンズ内にある円形の輪が絞りとしましょう。
光路図では、上下に棒が追加されたように表すことができます。
この状態で絞りを狭くすると、レンズの上端と下端を通る光線がさえぎられ、レンズの中心付近の光線だけが通過するようになります。
すると、センサー上の光の拡散が小さくなったことがわかるでしょうか。
このように、絞りを操作することで、ボケの大きさも変化していきます。
まとめ
- 【絞る=F値を上げる=暗くなる】,【開く=F値を下げる=明るくなる】
- ボケとは1つの点に集まるはずだった光が拡散する現象。
- ボケは【絞り・焦点距離・カメラと被写体の距離・被写体と背景の距離】によって変化する。
- 絞りを変えると光の拡散具合(ボケ量)が変化する。
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