撮影ハードウェア編の第4章となります。
1.色温度とは
物体は、温度を上げていくと発光します。
例えば、製鉄所の溶けた鉄を見ると、赤く発光していますよね。
本来、光らない物体でも温度が高いと、その一部が光エネルギーへ変換されて発光するのです。
そして、温度によって光の色が異なります。
製鉄所の鉄は赤いですが、もっと加熱すると白を経て、青色になるはずです。
この物体と温度(℃ではなくK:ケルビン)の関係性を、照明の色合いに当てはめたものを色温度と呼びます。
白には様々な定義がありますが、今回は5500Kを完全な白としましょう。
2.ホワイトバランスとは
地球上には、様々な色温度の光源があります。
真夏の白昼なら6000Kの色温度の高い(青っぽい)光、お洒落なカフェの照明なら3500Kの色温度の低い(赤っぽい)光で物体は照らされています。
カメラで白色を5500Kと定義した場合、被写体本来の色味よりも、前者は500K高く(青く)、後者は2000K低く(赤く)記録されます。
ただし被写体によっては、もっと青み赤みを強調したい場合や、物撮りなど本来の色味で撮影したい場合があります。
理想は、光源の色温度を変えることで調整したいところですが、スタジオでない限りは難しい場合があります。
なので、カメラの白の定義を変えましょう。
白い食器をもっと暖色に撮りたいとします。基準より2500Kほど色温度を低く撮影しましょう。
その場合はカメラの白色定義を6000Kにすればいいのです。
被写体の位置は変えずに、図だけを右に500K移動させるイメージです。
今までよりも赤く写せます。
3.ホワイトバランスの測定と調整
物体本来の色味を映し出すために、「環境光の色温度-カメラの色温度基準値=0」とすることを、一般に「ホワイトバランスを合わせる」と言います。
イベントや番組撮影、物撮りなど、様子や事象を正確に伝えることが大切な界隈では、ホワイトバランスを正確に合わせることが求められることが多いです。
そのためには、環境光の色温度を測定することが必要となります。
方法は簡単です。白い紙をカメラで撮影しましょう。
例えば、Red:100,Green:100,Blue:100で記録されるべき白い紙が、Red:120,Green:100,Blue:100で記録されたとしましょう。
この場合、環境光がRed:20だけ強い(色温度が低い)ことがわかります。
これを逆算して自動で色温度基準値を変更してくれるのです。
すると、白い紙や被写体が白色として撮影できます。
最近のカメラは白い紙を用意しなくても高精度でホワイトバランスを合わせる機能が搭載されています。
番組制作など余裕がありカメラを複数台使うとき以外はあまり気を使わなくてもいいかもしれません。
4.色被りとは
基本的に、屋外の色は色温度で表すことができます。
太陽光が大気の影響を受けて、赤っぽくなるか青っぽくなるかの2択です。
だから、色温度を合わせるだけでホワイトバランスが取れました。
ただし、LEDなど若干緑っぽい色というのも存在します。
色温度はXY色度図において、曲線で表すことができます。
LEDは、この色温度曲線から、少しマゼンタ側へシフトしているのです。
このずれを「色被り」と呼びます。
補正方法は、色温度の時と同じく、白い紙をカメラの前に置けば自動で設定してくれます。
意図があって手動で補正した場合は、以下のように2次元図上で補正しましょう。
色被りの調整もホワイトバランス調整に含まれます。
5.RAW撮影とホワイトバランス
RAW画像をカメラ内に保存する設定にすると、撮影後にホワイトバランスを調整することができます。
どのカメラでもシャッターを押すとRAW画像が記録されるのですが、初期設定では、RAW画像を圧縮してJPEG画像を生成、もとのRAW画像は消去してしまいます。
これはRAW画像のデータサイズがJPEG画像の数倍のため、容量を圧迫してしまうからです。またRAW画像は汎用性がなくスマホで確認することもできません。
RAW画像を消さずに残しておくと、Lightroomで大きく色味を編集することができます。JPEG画像だと、編集時に色が汚くなったりおかしくなることが多いです。
カメラの設定項目に、RAW+JPEGがあれば、それに設定します。
Lightroomで画像を編集した後には、JPEG画像として書き出しましょう。
まとめ
- 色温度とは、物体が発光する時の温度。
- ホワイトバランスとは光源の色温度とカメラの基準色温度のバランス。
- ホワイトバランスを合わせるために、白い紙があると良い。
- ある程度自動で合わせることもできる。
- 色被りとは、環境光が色温度の曲線から緑かマゼンタ側へずれていること。
- ホワイトバランスは「色温度」と「色被り」で決まる。
- RAW撮影でホワイトバランスを後から変更可能。
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